学校のチャイムが鳴り響く。HR開始のチャイムだ。何度聞いても、聞きなれない音。

みんな、急いで席に着く。

ドアが開き、先生が入ってくるなり生徒委員は号令をかける。

「起立　姿勢　礼」

棒読み。何かのお経か呪文のよう。

「え～っと。今日から、このクラスに転入生が入ってくることになりました。」

クラス全体がざわつき、仲のいい子同士、グループ同士で皆目配せを始める。そんな中、私一人下を向いて携帯をいじっていた。どうせ、目配せをする仲のいい子もいなければ、グループもいない。そんな中、正面を向いて先生を見ている方がよっぽど、目立つ。

「入りなさい。」

ドアが開き、入ってきたのは女の子だ。身長１５４～１５６センチ。体重は、太っているわけでもなく、痩せているわけでもない。まぁ、その背の標準ぐらい。顔は、芸能人みたいに可愛い。このクラスの男子が好きそうな顔。

「瀬和夕希です。よろしくお願いします。」

３列目まで聞こえるか聞こえないかぐらいの、小さな声。このクラスの、中心グループの女子たちは、また目配せを始めていた。なんとなくわかる。この子は、クラスに友達はできないだろうなって。

「瀬和さんの席は、あそこね。」

そう言って、先生が差した場所は私の席の隣。