その時、教室の開けっ放しにされていた
ドアから誰かが入ってきた。


派手な明るい茶髪の髪、
ゆるりとボタンを開けてだらしなく
ネクタイを結んで薄い鞄を持つその男の人を

わたしは見たことがなかった。



だれ…?

うちのクラスの人じゃないよね?


いかにも怖そう………

だけどこの人、すごく整った顔してる…


クラスを見まわすと皆がその人に
視線を奪われていた。


そして男の人はキョロキョロと
教室をみわたして、少し眉をよせた。



あ、この人もしかして……



直感だけど、でも多分そうだと思う。






「南野くん…だよね?」


遠慮がちに言ったあたしの声に
彼は振り向いた。


「………ウン。」


やっぱり。