階段を下りてくるスリッパの音。「ママだ!」ぼくはしっぽを振って「ワン、ワン、ワン!!」と鳴いた。シュウちゃんが泣いてるよ、ママ!早く伝えたくて必死で鳴いた。 「シュウちゃん、お帰り。どうしたの?泣いたりして。」シュウちゃんの頬っぺたに付いた涙を、ぼくの代わりにママが拭う。「アキラ君とケンカしたのぉ…。」とママにしがみつく。ママはそんなシュウちゃんに笑いかけて「お腹空かない?おやつ食べようか?」と言った。さっきまで泣いてたシュウちゃんの顔が、パァッと明るくなった。「食べる。いっぱい泣いたらお腹空いた。おやつ何?」靴を脱いで、リビングに歩き出した。「今日はシュウちゃんの好きなドーナッツだよ?手を洗って、うがいしてから食べようね。」「やったぁー!」両腕を高く上に上げてシュウちゃんが喜んだ。良かった。シュウちゃんが笑った。ぼくは、シュウちゃんの笑顔が好きなんだ。口を大きく開けて、ホントに嬉しそうに笑うシュウちゃんを見るのがぼくは大好きなんだ。 明日も笑顔でいれるといいね…。シュウちゃん。