清貴は、本社の会議に出向くため車を走らせた。
運転中、さきほどの男のことを考えていた。

どうして、男は会社の前にいたんだろうか。
しかも、病気がちな息子を連れて・・・。

それから、そのことが気になって仕方なかった。

普通なら解雇された会社などは来ないはずだと思いながら、なぜ、子供までと詮索をした。

考えれば考えるほど気になった。

清貴は、本社で会議を終えて急いで会社に戻った。
今朝、会社前で出会った親子のことを何か知っていないか尋ねようと思った。

清貴が現場の休憩室に来るなり、社員全員に緊張感が張り詰めた。