「ところで・・・さきほどの上田先生のことなんですが・・・」

山城が職員室に入ろうとすると、上田の声が扉の外から聞こえてきた。
しばらく、外で二人のやりとりを聞いていた。

「上田先生の言っていることは、間違っていないと思います」

山城は、清貴の言葉が意外だった。

代行教員の清貴が、ベテラン教職員の上田からやり込められていて、落ち込んでいるんではないかと思っていた。しかし、そんな雰囲気もなく上田の考えに同調していたからだ。


「この分校が廃校になった後、先生方の行き場所がないことは知っています。だから、何か問題が起きたら困ることもわかっています」

「そのことは、私もなんとしたいと思っています。今、教育委員会で話し合いをしているところです」

山城が強調するように言った。