清貴は永岡の横に座り、テーブルを挟んで慎吾の母親が差し向かえに座った。
扇風機の風を母親に向けて、自分はうちわを手にした。

永岡が母親に慎吾の成績表を見せて、一学期の授業態度などを説明した。

「あと、国語の読み書きが少し不得意みたいです。もう少し家で本を読んだりすれば、自然に漢字も覚えてくると思うんですが」

「わかりました。後は何か? 」
母親がうなずいた後、永岡に尋ねた。

「それから・・・」
永岡が少し話すのをためらった。

「それから、最近の慎吾君、どこか元気がない気がするんです。私の気のせいかもしれませんが、以前は元気に挨拶をしてくれて、少しやんちゃなところがあったんですが、最近、あまりそんなこともなくて・・・」

「そうですか・・・先生にもご迷惑おかけしているんでしょうね」
母親がうかない表情で言った。

「実は、二学期から、あの子を福岡の小学校に転校させようと思うんです」

「えっ! 転校?」
永岡が驚いた表情で言った。
清貴も驚いた。