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「歳、沙知さんとはどうだ?」



勇は嬉しそうな顔で歳三に尋ねる。



「……別に」



歳三は目を背けてぶっきら棒に答えた。



「もー、土方さんは素直じゃないんだからっ」



総司が二人の間に割って入る。



「沙知さんのことが気になって仕方ないんでしょう?」



総司はくすくす笑いながら歳三の顔を覗き込む。



「話が終わりなら部屋に戻って寝る」



明らかに不機嫌な声で歳三は部屋から出て行った。



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「………沙知?」



歳三が襖を開けると部屋では沙知が寝息をたてて眠っていた。



「寝てるのか…」



歳三は沙知を起こさないように足音を忍ばせて近づいた。


あぐらをかいて沙知の顔を覗き込んだ。



「ぉ…母さ…ん…」



寝言を呟いたあと沙知の頬を伝った涙。


歳三はその涙をそっと拭ってやった。



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