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願い事か…。


向かってくる輩を片っ端から切ってきた俺が望みなんて持っていいのか…?



「歳さん?…どうしたの?」



切なそうな瞳で沙知が俺を見上げてくる。



「いや、なんでもない。沙知は何を書いたんだ?」



「秘密です。短冊かけてきますね!」



慌ただしく行ってしまった。


う~ん…。


願い…か。


新選組で天下をとって、近藤さんをもっと偉くしたい、とか考えるけど…。


やっぱり、俺は―…。



「何書いたんですか?」



短冊を竹の頂上に掲げると沙知が駆けてきた。



「秘密だ」



恥ずかしいから絶対言わねぇ。



「意地悪ですね」



沙知がくすくす笑う。


今が幕末なのにもかかわらず、平和を感じる。



「あっ、歳さんっ天の川ですよ!」



上空を指差して沙知がやや興奮気味になる。


つられて見上げると夜空に無数の星が輝いていた。



「綺麗ですね」



沙知が寄り添ってきた。


珍しく積極的?


まぁ、今はどうでもいいか。


そう思って沙知を抱き寄せた。



「…歳さん大好き」



背伸びした沙知に耳元で囁かれて。



「……愛してる」



とそっと呟き、口付けをした。



願いは君が隣にいてくれれば―…。





―end―
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