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うわぁ…近藤 勇さんだよ…。


って、喜んでいる場合じゃない!


私、今………幕末にいるってこと?



「近藤さん、何してるんだ?」



背後からした芯の通った声に、私は恐る恐る振り返る。



「あぁ、歳。このお嬢さんなんだが、変わった着物を着ているんだ」



近藤さんはその男の人を呼び寄せる。


“歳”…この名前に心当たりがあった。


近藤さんの幼なじみで、新選組鬼副長。


近藤さんの死後、会津や函館で戦った…。



「ひ…じ方……歳ぞ――……」



私は近藤さんの胸に倒れるような形で気を失ってしまった。



――――――



ん…変な夢見ちゃった。


タイムスリップした夢見ちゃうなんて。


そう思いながら私は瞼を開いた。


………知らない天井。


私は慌てて起きて周りを見渡した。



「目ぇ覚めたか?」



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