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「お母さんっ」



「沙江ちゃん、ちょっと待って」



あれから四年。


現代に戻ったあと、生理が来なくて。


検査すると妊娠していることがわかった。


歳さんと過ごした最後の夜、私は命を授かっていたのだ。


もちろん歳さんとが初めてだったのだから、父親は歳さん。



「あんまり遠くに行かないでねー」



両親の反対を押し切って生まれてきてくれた大切な宝物、沙江。


堕ろすことも考えなかったわけじゃない。


でも、また逢えるって言ってくれた歳さんの言葉と握られていた手紙で決意が決まった。



「あれ…沙江?」



広い公園で目を離すとすぐに見失っちゃう。


慌てて周りを見渡すと砂場の辺りにツーテールの髪型の後ろ姿。


沙江だ、よかった。


そう思ったのも束の間。


沙江が見たことない男の人に話し掛けられている。


まさか…誘拐!?


私はそう思って砂場に近づいて行った。



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