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私はこっそり屯所を抜け出して、沖田さんの元にやって来た。


本当は歳さんに外には出るなと言われてたけど。



「沖田さん」



沖田さんは結核を患っていて、現在療養中だ。



「沙知さん?何してるんですか?」



私が一人で来たことに驚いているようだ。



「具合はどうですか?」



「今日は具合がいいですよ」



沖田さんはにっこり笑うけど。


どう見ても病人だ。


顔色も悪いし、すっかり痩せてしまっている。



「沙知さん」



私は、「はい」と返事をした。



「土方さんの傍にいてあげてくださいね」



なぜだろう。


瞳が潤んで、視界がぼやける。



「本当は誰より優しい人ですから」



沖田さんはそう言って目を細めた。



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