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「あんなもん、痛くねぇよ。だからお前は笑え」



言ってることがめちゃめちゃだよ。


さっき、『痛ぇな…』って言ってたじゃない。



「沙知…」



歳さんの指が涙を拭ってくれて。


視線が絡まって、自然と唇が重なる。



「…真っ赤」



唇が離れると、赤く染まった頬を撫でられて。


ますます熱く、赤くなる頬。



「歳さんは赤くならないんですね…」



嫌味みたいかな。


でも歳さんは普通で、私ばかりドキドキしているような気がするんだもん。



「顔に出ないだけだ。…ほら」



手首を掴まれて、そのまま歳さんの胸元に手を触れさせられる。



……ドクン、ドクンッ―……



「私と…一緒?」



手を通して伝わる鼓動は私と同じくらい速くて。


すごく嬉しかった。



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