それからの僕はもう、それこそ憑き物につかれたように、熱心にナツミを口説きにかかった。



それはタクヤも感心するほどだった。



居酒屋『天神』



「タロー、どうした。」
「え、どうって。」
「なんだ、そんなに好い女だったのか。」
「ナツミ?」
「他にいるのか。」
「いや、いないけど。」
「おまえ、ハルカが淋しがってるぞ。少しも構ってくれなくなったって。」
「ハルカは彼女じゃないだろ。」
「いや、急に捕まらなくなって、どうしたんだって俺に聞くんだよ。」
「別にどうもしてないだろ。」
「んー、そうか。いや、熱心な事はいいことだぞ。」
「熱心も何も。」
「なんだ。」
「あれから一回も会ってないから。」
「は?」
「だから会ってないの。」
「マジか。おまえ。」