思い出に変わる時・・・・

祐が口を開いた。


「何で・・・何でずっとこうしていたかったのに、ヒロと付き合うなんて言ったの? 」


「??? 」


「お前がヒロと付き合うって聞いて、俺もムカついて村上にいいって言ってしまった! 」


抱かれている私の頭の中は一瞬で真っ白に変わった。


祐の後ろにしっかり回していた私の腕は完全に力が抜け落ちた。


「菜緒ゴメン=3  ゴメン=3 」


『堂々と村上が腕を組んで帰っていたのはそれでか・・・』


私は祐の腕をほどいて、


「放して・・・」


祐も私から少し体を離した。


「菜緒・・・」


「菜緒・・・・ 」


祐は私の腕を掴んで名前を呼び続けている。


『もう・・・本当に終わったんだ。 』


あっけに取られて涙もでなかった。


自分の軽率さ・・・・


祐はもう一度私を抱きしめた。



「祐・・・・ありがと・・・・」


私は自分の中の力を全部振り絞って言った。


祐の腕の力が少し弱まったとき、そっと腕を外し


「帰るね・・・」


最後に笑って見せた。


本当に悲しいと涙はでないんだ


初めての感覚・・・


その日から私は何故か笑顔が作れるようになった。


祐に笑って見せた笑顔・・・