そして、待ちに待った夏休みがスタートしたが……

結局部活三昧で、あんまり遊べる日がないのだ。

強くなるためには、仕方ないことだけどね。

「浜辺さんっ」

後ろから、声をかけてきたのは胴衣姿の森本くんだった。

「部活頑張ってるね」

「森本くんも頑張ってるじゃん」

「まあ、お互い頑張ってることでいいじゃん」

「そうだね」

お互い微笑みあった。

「私、そろそろ部活戻るね」

「うん、じゃーまた連絡するから」

「わかった」

そう言って、私は部活の所へ戻った。

森本くんのあの笑顔から、全く想像できない。

美鈴たちが嫌う理由が。

あんな優しい笑い方をする人を

あんな優しい人を

あんなきれいな顔立ちの人を

あんな【微笑み王子】を

嫌う理由が、わからない。

でも、いつかは知ってしまうんだとこのとき思っていたのかもしれない。

いつかは、過去を越えて生きていかなければならない。

いつかは、自分で変えていかなきゃいけないと。