渡辺くんの行動範囲を見ていると、決まった男子・決まった女子としか話していない気がする。

人間関係が、気になる。

たぶん、深入りしたくないタイプなのだろうか。

それとも、昔に辛い過去を経験したためか……。

そんな小説やマンガの中の話は、なさそうだな。

でも、彼の本初がものすごく気になった。

「ねえ、渡辺君って普段もあんな感じなの?」

つい、浜辺さんに聞いてしまった。

「うーん、そうだね。でも、ああ見えて部屋汚いんだよ。サッカー雑誌とかベットに置きっぱなしだし、教科書なんて机の上にほったらかし」

「へー、意外だな。几帳面そうなのに」

「でしょー!!だから、私が部屋に遊びに行ったときはまず部屋の片づけからやってあげる。そこから、一緒にケーキ食べたり勉強したりするんだよ?」

「なんか、可愛そうな感じだね」

俺は、苦笑いした。

本当に、意外だ。

彼の部屋のイメージは、青と白で統一されてて教科書とかは机の上の本棚に入ってて、サッカー雑誌とか小説はちゃんとした本棚とかに入れてるイメージなのに。

「でもね、写真だけは綺麗に取っといてあるんだよ。アルバムとか写真立てに」

「そうなんだ」

「うん、机の上に小・中の入学式と卒業式の写真が写真立てに入れて置いてるんだよ」

「へー、きっと写真が好きなんじゃないかな」

「たぶんね♪」

ニコニコしながら、浜辺さんは渡辺君の方を見た。

渡辺君も浜辺さんの視線に気づいたのか、ほほ笑んだというより口パクをしていた。

浜辺さんも口パクをして何かメッセージを伝えていた。

ああ、【幼なじみ】って嫌い。