【幼なじみの恋愛事情】

そして、10分後……。

「ほれ、みてみーや。うちのこの力作」

「……サンキュ。つか、力作じゃねーだろ。作ってないし」

「いちいち、口だししないの」

丁度いい時に、おばさんが階段が上がってきた音が聞こえた。

「みーちゃん、持ってきたわよってあら!!きれいになっちゃって。ホント、みーちゃんが来るといつもきれいに片付くのよね。うちの嫁に来てほしいわよ」

「それほどでも」

翔は、早く出て行けみたいな顔をしていた。

「あら?お邪魔だったあしら。紅茶入れたから、砂糖とミルクは自分で調節してね」

「ありがとう」

そういうと、おばさんは素早く部屋から出てきた。

「おいしそー」

私の一言に、翔は迷惑そうな顔をしながらケーキを一口食べた。

「……これ、やる」

翔は、私に一口しか食べてないケーキを渡してきた。

「なんで?まだ、一口しか食べてないじゃん」

「俺、今週ずっとこればっかり食べさせられてるから飽きた」

「なら、もらいます!!」

私は、二つのケーキをペロリと食べつくした。

「おいしかった。ごちそうさま」

「二つも食べて太るぞ」

「いいもーん、もう豚だし」

「……っふ」

「あっ、今鼻で笑ったでしょ!?」

「笑ってねーし」

「笑った」

「笑ってない」

そう言いながら、二人でじゃれあったがいきなり翔が真面目な顔をした。

「な……何?私の顔に、クリームでもついてるの?」

「いや……お前の顔見てるとさ、なんか……」

「なんか?」

「……いや、なんでもない」

翔は、少し頬を赤くさせながら視線をずらした。

「だから、何~?」

「なんでもねーし」

「言いかけたことは、ちゃんと言う!!」

私は、翔のほほをつねった。

「いわねーよ」

翔も、私のほほをつねった。

翔と顔が近距離で、目が合ってしまった。

二人は、時が止まったかのように見つめ合った。