「美里?」

後ろから、私を呼ぶ声が聞こえた。

「まーくん?」

「何で、泣いてるの…」

私は、とっさに涙を拭いた。

「ううん、ただ欠伸しただけだよ」

私は、優しく笑った。

「何か、渡辺にされた?」

「えっ?」

そうか、今翔の部屋の前にいたんだった。

「ううん、何も。ただ、ちょっと話しただけだよ」

「そっか。ちょっと、俺の部屋来る?」

「うん……」

私は、黙ってまーくんについて行った。

今日のまーくんは、なんだか怖い。

いつもとは、違って笑顔はない。

私が、翔の部屋の前にいたから?

翔と話してたから?

でも、何もしてない。

ただ、抱き締められただけ。

何か、ものすごく嫌な予感がした。