「僕さ、あのとき本当に掛けてみたんだ自分に。もし、美里が渡辺くんを選んだらこの恋を諦めて剣道一本にしようって。けど、まさか美里が僕を選ぶなんて思ってもいなかった……」

森本くんは、照れ隠しをするようにアイスコーヒーを飲み上げた。

まさか、森本くんがそんなかけをしておるなんて思わなかった。

正直にまっすぐに私と付き合おうとしている森本くん。

翔の優しさが感じられず、翔を忘れるために、森本くんと向き合って森本くんを本当に愛していこうと思っている私。

何か、温度差を感じる。

「あのさ、別に僕と付き合ってるからって渡辺くんと距離を置かなくてもいいよ?渡辺くんと一緒に学校行ってもいいし、帰ってもいい。あっでも一緒には、帰りたいかな?だから、前みたいな生活を送ってくれていいよ?けど、あんまりスキンシップは取らないでね?僕、嫉妬しちゃうから」

「うん、ありがとう。でも、帰りは一緒に変えろ?朝は、朝練とかあるし……忙しいからさ」

私は、笑顔で言った。

森本くんの優しさが胸に響いた。

この人だったら、何があってもずっと一緒にいられる。

そう一瞬だけ思ったんだ。