「あのさ、なんで渡辺くんじゃなくて僕を選んだの?」

いきなり、森本くんが問いかけてくる。

「なんでって…。森本くんが好きだからじゃダメ?」

「ダメ、もっとちゃんとした理由が知りたい」

真剣な眼差しで問いかける森本くん。

「……翔にはないものを森本くんは持ってるからだよ」

私は、笑顔で答えた。

「それは、何?」

「優しさだよ」

そう……優しさ。

翔は、私をいつも下に見ている。

いつも、対等の位置で話してくれない。

そして、優しさがない。

翔が思っている優しさと私が思っている優しさは、違うかもしれない。

けど、翔には私が思うような優しさはなかった。

それが、1番の理由だ。

「そうなんだ。けど、僕から見れば渡辺くんは美里にものすごく優しいと思うけどな」

「そうかな?」

みんなもそういう。

けど、私自身がわかってないからダメなのだ。