―――翔にキスされた このことが、頭をぐるぐるとまわっている。 きっと、翔は明日平然な顔して挨拶してくるだろう。 いつも、翔はそうだ。 小学校のときの修学旅行のときだって、迷子になった私を助けてくれてただ黙って手を握ってくれた。 中3の卒業式も、黙って私のポケットの中にそっと第二ボタンを入れていた。 翔は、幼いころから予想外なことばかりしてきてこっちを困惑させてくる。 翔の本当の気持ちを知りたい。 そう思う自分をよく疑う。