【幼なじみの恋愛事情】

この空気に、耐えられない私は、口を開いた。

「ねえ、私もう家に帰るね」

翔は、ただ手をあげるだけでこっちを振り向かなかった。

おばさんにばれないように、そっと翔の家を出て隣の自分の家へと入った。

「ただいま」

そう言って、リビングに入ると珍しくお兄ちゃんが居た。

お兄ちゃんは、陽菜ちゃん（翔のお姉ちゃん）と中学の時から付き合っている。

今は、高校3年生だ。

「おかえり」

「お兄ちゃん、今日早いねえ。部活サボった?」

「違うよ。今日は、職員会議でなんとなくなくなったらしい」

「ふーん。国立のエースが何言ってるんだか」

お兄ちゃんは、翔の宿敵ライバルで去年の国立の最優秀選手として表彰されたのだ。

「いいじゃんかよ、たまには休んだって」

「まあ、いいけど……」

私は、冷蔵庫から缶ジュースを取ってそのまま自分の部屋に入った。