「ねぇねぇ、あれがうみちゃん?」

伊奈の目が分かりやすいくらいにキラキラと輝いている。

「うみちゃんって超可愛いって有名なんだよ!ファンもいるらしいし。」

私の返事を聞く前に、机を叩いて力説開始。

女子高だからというわけではないが、たまにファンというべき存在がいる。

彼女達は漫画で有りがちな積極的な行動をとるわけではない。本人に気付かれぬようにひっそりと想いを寄せているだけ。

「ああ、うみちゃん可愛いなあ。伊奈ちゃんもう惚れちゃいそうだよ!彼氏居んのかな?」

「私は誰かさんに彼氏できることを祈ってるけど。」

チラリと一瞥。

「いいんですぅ。うみちゃんへの想いはラブじゃなくてライクベリーマッチなの。」


ふぅ、と豪快に息を吐き出す伊奈は、女子高でなければモテそうなのに。

「なぁに?なんか顔についてる?」

「べっつにぃ。」

「まったく…大体かんちゃんだって彼氏居ないじゃん。」