内側には有名なキャラクターが掘られている。ネズミなのに二足歩行の彼である。


三年前はもっと光沢があったであろうその指輪。でも輝きは衰えることない。


その輝きは、先生の顔も照らす。
いつも笑う彼の、極上の笑みと呼ぶに相応しいその笑顔。



幸せが滲み出ている笑み。
それに対する私は今、どんな顔をしているのだろう。


鏡はない。ないけれど、わかる。
笑えてない。笑えない。

唇の端が痙攣して、笑おうと力む度に震える。こんな経験はしたことがない。この緊張が怖い。



愛想笑いなら得意。
笑っていれば、嫌でも笑えば、辛い未来なんて吹き飛ばせる。



なのに、おかしいよ。
こんなのおかしい。


そしてこんなにおかしいのに、先生は全く異変に気付かない。