――ママ。

――なぁに、かんちゃん?

――なんでかんのってなまえなの?

――そうねぇ…




私の生命は神様からの贈り物だから。
母は笑顔で答えた。

神ノ子だから神乃。
それは傲慢ではないか。
私は神ではなく人の子なのに。


幼い私には、
まだそんなことは言えない。

ただ漠然と、
名前だけが浮いている気がした。


だから誰かに私の名前を呼ばれると、
神乃ではなくカンノと聞こえる。

決して嫌ではない。
嫌では、ない。