葉子とは小学校からの仲だ
だから地元も一緒で、うちらは真波より先に電車を降りた
「ね、葉子」
「…なぁに?」
「あれ、嘘ついたままにするつもり?」
「まさか ちゃんと言うよ
今日帰ったらメールしようかな、って」
「なら良いや」
そう、葉子は振ったんじゃない
振られたんだ それも一昨日
葉子は彼の事を本当に思っていたと思う
けど、あのプリを撮った頃は逆も同じで
人前ではあまりいちゃつかないが、二人きりになると甘い時を過ごして
葉子によると、振られた理由は他に好きな人ができたかららしい
ちょっと前まではあんなにも――うちと秋也(佑綺の彼氏)が羨ましいくらいに――想い合っていたのに
それが脆(もろ)くも崩れ去ったのだ
うちは、少しでも忘れてもらえるように、精一杯明るく話す
うちには、それくらいしか出来ないから
「葉子ー
久しぶりに寄り道しようよっ!」
「あ、良いね
どこにする?」
「じゃあ、カラオケ行かない?」
「うん せっかくだから真波ちゃんもいれば良かったね」
「ああ!
また今度は三人行こうね!!」
うちらは頷き合って、よく行くカラオケボックスへ向かった