NAO




 そんなあたしに“大人をからかわないの!”と叫んでる。


 その言葉に迫力はなかった。


 クスクス笑っていると…父さんがマンションの前に来た。


 車から降りた父さんは…何だか緊張している感じ。


 あたしは“父さん”と呼んで近づいた。


 やっぱり父さんは、あたしの顔を見ない。


 そんな父さんに…スッと右手を出した。



 「愛…何だ?」



 驚いた顔の父さんー…。



 「何って…仲直りだよ。」


 「仲直り…父さんには…仲直りする資格がない。」