あたしの頭の中はグチャグチャだ。


 気づいた時には、家を飛び出して走っていた。


 右手には携帯を握りしめてーー。


 家から走って、20分ぐらいかかる病院。


 走る道のりが長く感じる。


 ーーどうか…無事でいて…。


 走りながら、あたしは願った。


 酒癖が悪くて、実の娘を襲う人だけど…。


 あたしにとってはたった1人の家族。


 あんな男だけど…あたしの父親なんだ。


 だから…母さんのようにいなくなって欲しくない。