こんなこと訊いたら、磯比奈は傷つく。 わかってる。ちゃんと。 「ハヤ、が?」 「おう」 磯比奈は、俺の頬を抓って 「弟が事故に遭ったの。んで、慰めてもらった。幼なじみだから」 「ふーん……」 (幼なじみ………) 幼なじみ、という言葉が、やけに颯人と磯比奈の間に壁を作ってるように見えた。 「ハヤ、なんか気にしてた?」 不意に訊かれた磯比奈の顔は、少し赤く染まっていて 「…弟のこと、心配してた」 と言うと、 「大丈夫、って言っといて」 そう返事をして、教室へ入っていった。