図書館の冷たいコンクリートの壁に身を寄せて、 耳を澄ました。 さっきの声はもう聞こえることはなく、黒い傘は遠ざかっていった。 「渉、どうする?」 このままに勢いで言ってしまっていいのか? 「俺先に戻ってるからな、比奈待ってるし」 そう言って颯人は立ち上がって、走って昇降口へと向かっていった。 残された俺はただ、ピンクの傘を眺めた。 二番、 一番でダメなら二番。 泉谷渉真、人生初の告白へ―――