「もぅ…いっか。」


止めにしよう。


悲しむことは。


惜しむことは。



ヒロとマミさんに失礼だ。



あたしは二人の恋のキューピットになれたんだから。



泣かない。



泣いちゃダメ。




「なぁに、しょげた顔してんだよ!



もしかして、俺に惚れたかぁ~?」




愛しい声。




顔を上げると目の前に笑顔のヒロが立っていた。





「ひっひろおぉぉぉぉ~~~~~!!!!」



あたしは思いっきりヒロを抱きしめた。



初めて触るヒロの体。



がっしりしてて愛おしさが溢れてくる。




「ばっかじゃねぇの!なんでここに居るんだよ!?」



あたしはヒロの腹に向かって怒鳴った。



オモチャがほしくてワガママを言うガキみたいだ。




ヒロはそんなガキの頭を優しく撫でる。



「マミとはちゃんと話して来た。


でも、俺はマミとはヨリを戻さない。」



ヒロの手は大きくて落ち着く。



その手があたしの頭を撫でているだけで落ち着く。




「なんでだよ…。せっかくのチャンスを。」



「お前には感謝してる。



でも、これはけじめ。


いつまでも自分を甘やかしちゃダメだから。」




「意味がわかんねぇ…。」



フフッとヒロの笑った声が頭で聞こえる。





「少しぐらいはカッコつけさせろよ。」





あたしはヒロの胸の中で大人しくなった。






あたしはヒロの事が好き。





認めたくないけど



好きなんだ・・・