「アラームの音…苦手って言ったろ。
朝、アラームが鳴ったあと、いつもあいつ体温を測るんだ。
不妊症らしいんだ。不妊治療もしててさ、
でも……ダメなんだよな。
そして、毎朝さみしそうにため息をつくんだ。
俺さ、自分が情けねーって。あいつを苦しめてるんじゃね―かって、起きられねーんだ。
だから、起きてるのに、寝たふりする。朝が苦手ってさ嘘ついて…
海斗のことを聞いた時も、素直に祝福できない自分に腹が立ったよ。
なんで俺には…って。
あの日も結婚記念日も「みんなが待ってるよって」…
それがあいつの優しさって知っているのに俺はひどいこと言っちゃったんだ。
「お前はそれでいいのかって、大切な記念日なのに俺がいなくてもいいのかって…
いいわけないよな。バカだよな、俺…」
『ごめんなさい、先生。私の大切な先生なのに、その先生の大切な人を傷つけるようなことしちゃった。ごめんなさい』
「いいんだ、蒼衣。蒼衣との証は大切な印だから…あいつとの大切な印なんだから…あの日な…」
あの日、先生は奥さんとの記念日を中断して、私達に会いに来てくれた。

