『おはよう…ございま・す…』
そっと体育館の扉を開く。もう、練習は始っていた。
「おぅ、おはよう。練習最終調整よ。あいつらの仕上がり具合見に来てくれたのか」
先生が私の姿を見て声をかけてくれた。
手招きをして、自分の隣にあるパイプ椅子に座れと言ってくれた。
私は黙ったまま、峻太達の練習を見つめた。
「あいつら頑張ってるだろ。なんかさ、俺も久しぶりにゾクゾクきてるっていうか妙な緊張感と期待が混じった変な気分なんだよな」
『先生、その気持ちわかるような気がするよ。今、一緒にプレーしていないのにこのコートに先生がいるような気がするもん』
「蒼衣、ホントにお前は…お前俺の気持ちわかってくれるよな。そうなんだよなぁ。こんなにも生徒と一緒になれることってあるのかって感じなんだ。だからこそ、この時間も大切にしたいんだけどな…」
あれ?先生、なんでそんなにさみしそうな眼をしているの?
峻太達と一緒に部活をする時間が残りわずかだから?
でも…この時間も大切にしたいって、…も…ってどういうこと。この時間を大切にしたいって言うんじゃない。この時間もってことは、他に大切にしたいけれど出来ない時間があるのかな…
「よしっ、ナイッシュ!いいぞ、ゴリ軍団。どんどん攻めようぜ」
豪快な掛け声が先生の笑顔とともに体育館に響き渡った。
あのさみしげな表情は見間違い?先生の言葉は私の考えすぎだったのかな。

