「そういえば亮佑くん、いつも帰りは送ってくれてた。しかも早い時間に家に帰るようにしてくれてて…」


「あの事件を繰り返さないために、亮佑さんも気をつけてたんだな…」


そっか…。

あたしの知らないところで、亮佑くんは莉子さんのこと考えてたのかもしれない。




「ごめんな?桜井に辛い思いさせて」


「な、何で尾田くんが謝るの?尾田くんは悪くないよ…」


「いや、今回のこと考えたのは俺なんだ。莉子のためにって最初は思ってて、亮佑さんを見張ってた。そしたら、桜井と急に付き合い始めたじゃん?」


「うん…しかも別れた次の日」


「意味分かんなくてさ、俺は桜井に付きまとうことにした。でも桜井って本当に素直で、すぐに俺が惹かれてた」


え…?

わざと近付いてきてたってこと?


「だったら莉子と亮佑さんをくっつけて、俺も桜井と…って考えた。電話して莉子が出たのも、家で出会ったのも全部…俺の仕業。辛い思いばっかさせてごめん」


あたしに頭を下げる尾田くん。

尾田くんも…優しい人なんだね。