「りょ…すけくん?」


固まって動かなくなった真里亜。


「……この音聞こえんだろ?」


「音?」


不思議そうな真里亜の耳を、俺の胸付近に当てる。

バカみたいに忙しく動く心臓。


「何でこんななってるかわかるか?」


「え?」


ダメだ、コイツわかってねぇし。




「俺が莉子を振り払わなかったのは、莉子のバカさに驚いたから」


どの面さげて俺に近付いてきたんだか。

そんでタイミングも悪いし。


「莉子への気持ちなんか、とっくに切れてる」


俺は嘘をつかれることが大嫌い。

浮気なんか最低な奴のすることだ。