少しでも早く会いたくて、会いたくて……

気付けば走り出していた。


「ハァ…ハァ…」


試合した直後に走るのはやっぱキツイ。


教室には一人しかいなくて。

窓際にいるのは、本物の真里亜。


「あれ?早かったね」


そう言って微笑む彼女にドキッと胸が鳴る。


真里亜ってこんな風に笑う奴だっけ?

大人っぽいその表情を、沈み始めた真っ赤な夕日が照らしてる。




静かな教室に、俺の足音だけが響く。




「お疲れ様。亮佑くんめっちゃカッコよかったよ」


やっぱり気のせいなんかじゃない。

雰囲気が変わった。


俺の方が照れて、真っ直ぐ目が見えない。