むかしむかしあるところに、それはそれは綺麗な姫がおりました。


その姫は、とても大人しく、おしとやかで彼女とすれ違う男たちは、誰もが振り返るほどでした。


彼女はいつも広い噴水のある公園で一人、寂しげにいるのでした。




「…ねぇ、セルシオ……あなたはいつ、帰ってくるの?」




彼女の問いに答えはなく、空にはただ白い鳥が飛んでいるのでした。


いつまでもいつまでも待っていた彼女でしたが、とうとう彼女が生きている間に、セルシオと言う男が帰ってくることはありませんでした。