「でもアンタなら男でも良い。」
「はっ!?」
 中年男の突然の言葉に京は首を傾げる。
「京ちゃんは男に見えないし可愛いし好みなんだよ。男でも構わんからワシの愛人になってよ!」
「はあ!?オッサン何言ってんだよ!?」
 京はテーブルをダンッと叩いた。周りの客や店員達が驚いても気にしてる余裕などない。
「俺好きな女いるっつっただろーが!」
「でもその子はアンタのこと男として見てるんか?」
「うっ…そりゃ彼氏持ちだし俺のこと親友としか見てないけど…。」
「やっぱりな~。報われない恋愛に溺れてないで現実見んと。だからワシに…。」
「だったらオッサンこそ現実見やがれ!!」
「えっ…。」
 中年男は京にビシッと指を指されて硬直する。
「俺にだって好みっつーものがあんだよ!ヴィジュアル系でカッコイイ男ならともかく、ただのキモいロリコンオヤジなんて問題外だ!俺のこと思うんだったらそのくらい考えろよジジイ!」
「がはっ!」
 京は怒りに任せて中年男の顔を一発殴ると不機嫌で去って行った。
「ぐすっ…そんなぁ…。」
 中年男は一人顔を腫らしながらガックリとうなだれるしかなかった。