「な、なんか怒ってる‥?」
「全く♪」
控えめに聞いた言葉は、満面の笑みによって返される。
嘘つけ――!!!
「美鈴は、なんでそんな帰りだかるわけ?」
「‥こ、ここにいる理由がないから」
「へー、じゃあ理由があればいいわけだ」
「へっ‥?」
「じゃあ‥‥」
すると奴は何を思ったのか
ガタ‥
「ちょっ、ちょっと‥何、するわけ‥?」
台の上に置かれていた壺を持ち上げ
「暇だし、キャッチボールでもしねえ?」
と、壺を手にわけのわからないことを言うのだった。
「準備OK?」
「いやいやっ!!」
「わかると思うケド、これ安物じゃねぇから‥落としたらアウトな♪」
「ならそんなの使うなっ!!てかそれ何処からどー見たってボールじゃないし!!」
「細かいこと気にするなって」
「無理無理無理――!!!!」
「美鈴パース♪」
「ぎゃああああああああ!!!!」
そして、聞きたくもなかった最悪な音がその場に広がった。
結局‥
キャッチできるはずもなく、奴の言うボールという名の壺は盛大な音をたて、辺り一面にカケラとなって散らばったのだった‥‥
「あーあ」
呑気にそんなことを言うのは奴だけだった。

