「‥‥え?」
なんか、ゴツゴツしてる?
てか、唇デカくない‥?
変な違和感を感じ、そっと目を開けると、
そこに広がるのは肌色の世界。
てか、これって‥‥
「‥オイ」
奴の不機嫌な声。続けて
「いい加減にしてください。この野じゅ‥‥いえ、坊ちゃん」
呆れたような、焦ったような桐島さんの声が響いてきた。
わたしと奴の唇に挟まれている、桐島さんの『手』。
「――っ! なんでこの俺が、お前の手なんかにキスしなきゃなんねぇんだよ!!」
奴は口を離し、暗い表情(まるでこの世の終わりのような表情)浮かべながら、袖で唇を乱暴にしつこいぐらい何度も拭いていた。
――――この状況から察するに、
どうやら、キスは桐島さんの手によって救われたようだ。

