蘭子さんはクスっと小さく笑って
「坊ちゃんにも、言ってあげればいいですのに」
「‥‥絶対、イヤです」
「あらあら、でも坊ちゃん、美鈴ちゃんのことかなり心配してらしたのよ」
「‥えっ?」
「だって‥」
蘭子さんは目を伏せ、昨日のことをゆっくりと話しだした。
黒スーツの人達が捜しているにも関わらず‥
奴は、あたしが消えてから屋敷中を探し回ったらしい。
蘭子さんは奴の姿を何度も見かけたと言う。
何に対しても、特別本気を出さなくても簡単にこなしてしまうという奴は、普段そんな必死に何かをすることは殆どないらしい。
「あそこまで必死になった坊ちゃん、
久しぶりに見ましたわ」
懐かしむような、どこか嬉しそうな表情で蘭子さんは言った。
あいつが‥‥

