病室に戻ると智が椅子に座っていた。
「…智…。ここは私が引き受けるから、攸真様と奏真の警護をあつくして。
犯人捕まえて。サツに出す前に私のとこ連れてきて」
「わかりました。…お嬢モードになってますよ。…怖いから…」
そういって、足速に出ていく智。
…お嬢、おっかねぇ。絶対に敵にまわしたくねぇ(智)…
智が出ていくと、椅子に腰掛け、夕兎の手を握る。
「…夕兎…夕兎…」
夕兎の名前を囁く。
月がでても夕兎は目を醒まさない。月が傾くころ、手を握ったまま慧斗は夢の世界へ出掛けた。
明るくなってきた。
夕兎は目を醒ますと手を握る慧斗を見つけ、体を動かすと激痛。
「いっで!!」
その声に慧斗が目を醒ます。
「夕兎?夕兎!ゆうと。ゆ-と…ゆぅとぉ…」
涙をボロボロ流す慧斗。
「…おいで」
手招きする夕兎。近付く慧斗を引き寄せ、顔を自分の胸に包み込む。
「大丈夫だよ。俺生きてるからさ。ちゃんと、心臓動いてるだろ?」
そういって頭を撫でる。すると、余計に泣き出す。
「…夕兎…」
暫くして、泣き止むと目が赤く充血していた。
「…兎みてぇ…」
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