部屋をノックし、返事を聞いたと同時に慧斗は奏真の部屋に入る。

｢ねぇ、お手伝いしたいんだけど、いい？｣

｢…は？｣

｢だって我が儘いってんの私なのになんもしないのはおかしいじゃん!?
さっき、お手伝いしますって言ったら夕兎ｻﾝに奏真か組長ｻﾝの指示がいるって言われたから…

ねっ!?い〜い？｣

ねだる慧斗に奏真は苦笑。
…変わったお嬢だ(奏真)…
｢いいよ。俺が一緒にいってやる｣

｢ありがと｣

満面の笑みで慧斗は言った。

…いい奴じゃん(慧斗)…


それから二人で下の居間に行くと、

｢若｣

夕兎が声をかける。

｢おう。
良いよ。ボスがなんか言ったら俺が許可したって言っといて。

夕兎。慧斗頼むな。

俺ちょっとでてくるわ｣

｢…はい。ほどほどに｣

｢わかってるよ｣

それだけいうと、奏真は出掛けた。


｢…夕兎ｻﾝ、何からすれば良い？｣

｢…とりあえず、私の事はｻﾝつけなくて良いです｣

そういうと、慧斗は困った顔をする。

｢…わかった。じゃぁ、夕兎も敬語止めて｣

今度は夕兎が困った顔をする。

｢…しかし…｣

｢じゃぁ、私も敬語にする｣
もっと困った顔をする夕兎。

｢……わかりました。
…俺の降参。これで良い？｣

｢うん!!｣

すっごい嬉しそうな顔をすると、夕兎に抱き着く。

舎弟達は目を点にした。

｢なに-!?｣

夕兎が声をあげる。
それに気付き、慧斗が離れる。

｢あっ。ごめんなさい。
お兄ちゃんみたいだったからついいつもの癖で…｣

しゅんとする、慧斗。

｢…ふっ、くっくっくっ｣

いきなり顔をくしゃくしゃにして、笑う夕兎。

…うわぁ、かっけ〜(慧斗)…

｢めっずらしい…夕兎が笑ってる｣

だれかがいった。

｢そ-なの!?｣

｢はい｣


｢そっかぁ…よかったぁ｣

慧斗も微笑む。



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