「あっ、瑛(てる)。 夕兎きてるからあたしの部屋にお茶とお菓子持ってって。あたしいくまでお相手してて」 外回りから帰ってきた瑛に伝える。 「了解。お嬢、春都サンが今日くらいィィんじゃないのかって伝えるようにって」 慧斗はハッとした顔を浮かべた。 「………っ」 「…お嬢?」 瑛が顔を覗き込む。 「っ…、なんでもないよ」 慧斗が笑顔を浮かべる。 「…無理して笑わなくてィィんですよ」 くしゃりと、頭を撫で居間をでていった。 …涙が零れそうになった慧斗。しかし、雫がおちることはなかった。 .