穣の死から三ヶ月がたった。慧斗は、次期当主として業務をこなし、学校にも時間通りに通う。日がたつにつれ、慧斗はやつれていった。
春都と春眞は、慧斗の補佐として業務を手伝っている。二人は慧斗が泣いていない事に気付いていた。
「…慧斗…
泣けばいいのに…」
ぽつりと、零れた春眞の本音。
「うん。…だけど、泣けないんじゃなぃかな?
…慧斗ちゃんの事を愛する人がたくさんいて、今度は慧斗ちゃんがその人達を護らなくちゃいけない。
…護るものの大きさをわかってるから、
……だからきっと、泣けないんじゃなぃかな……?」
それを聞き留めた未結は、言葉をそっと紡ぐ。
「……そうかもな……。
ずっと一緒にいるくせに、肝心なときに役にたたねぇ…」
「…違うよ。
…春眞と春都くんが隣にいて、組の皆が周りにいることは凄い大切な事だと思う」
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