あたしと千秋は急接近したままで、その声のする方へ無意識のうちに耳をすませていた。
あ、あれ………?
コレって“盗み聞き”っていうんじゃないの?
悪意は全くナイにしても、あたしたちがしてることは盗み聞きなんじゃ……。
「あれ、慎じゃね?」
あたしの顔の側でボソッと囁いた。
ドキンドキンドキン……。
心臓破裂しちゃう。
熱があるみたいに身体が熱くなる。
でもあたしはフルフルと小さく頭を振って、ドキドキを抑えようと努めた。
あたしの位置からはその人物を確認することが出来ない。
「慎と………女?」
慎って、佐久間 慎?
いつも千秋と居るあの学年トップの佐久間くん?
が、女の子と?
あたしは首を長くするようにしてわずかな隙間を覗いた。
ああああああっ!


