な……なに?
動揺するあたしとは裏腹に、王子はいつものクールフェイスを崩さない。
ドクドクドクドク――。
胸がバクバクしてる。
そんなあたしなんてお構い無しに、挑発するような顔でジリジリと近づいてくる。
「ちょ……ちょっと」
ココには今、あたしとコイツの二人だけしかいない。
もし……万が一、大声をあげて誰かに見つかったりでもしたら……。
「椎菜」
「は……はい?」
あたしは後退りをしたけど、すぐに後ろの花壇によって動きが止められてしまった。
もおおおお――。
どうしたらいいの?
アタフタしているうちに、あたしはあっという間に王子の両足に収まってしまったんだ。
「は……離れてよ……」
顔が近づいてくるから、耐えきれずに目を伏せてしまった。


