「覚えてるよ?入学式の朝、オレの前で派手にコケた女がいて、色気ねぇ下着丸見えにしてたのが椎……」
「あああああ――!!」
あたしはもうそれ以上、続きを聞いてる勇気がなかったんだ。
だからわざと遮ってやったのだ。
やっぱりコイツ……覚えてた。
「ぷっ……やっぱりお前だったんだ?」
ふえーん……。
もう顔から火が出そう。
川村椎菜、一生の不覚。
「アンタもうそれ忘れてよ……」
今すぐ頭から消してほしいよ。
「そのアンタってヤメてくんねぇ?」
「へ………?」
「千秋って名前があんだけど?」
あああ……。
そゆことね。
あたしが黙りこくっていると、王子はジリジリとあたしの側に迫ってきた。


