突然の王子の登場に、はーちゃんたちは口をポカーンと開けている。
それもそのハズ。
だってイキナリ、あたしの背後に立つんだもん。
「成瀬川、先行くぞ?」
隣に居た男の子の言葉に、王子は「うん」とだけ頷いた。
あ………。
あの人、確か学年トップの佐久間 慎(サクマ シン)だ。
うわあぁ……。
佐久間くんは学年トップで、1年の時、ずっとそれを維持していた頭脳の持ち主。
その頭の良さとは裏腹に、外見は目立つんだ。
髪の毛なんてトップが立ってるし、ミルクティー色に染めている。
あのメガネの奥の瞳はなんだか冷たそうでちょっぴり怖い。
将来、ドS数学教師になりそう……なんちゃって。
そんなことを思っていたあたしは、王子の次の行動で心臓が飛び出しそうになったんだ。