あたしってばなに口に出して言ってるのよぉ。
二重人格で俺様で人のことからかってるあんなヤツをカッコいいなんて……。
とたんに顔が熱くなって、あたしは両手で頬を包みこんだ。
「ふーん。学校の王子様にパンツ見られるとはお前もツイてねぇな?」
「まあ……アイツ……じゃなくて、王子様はきっと忘れてるよー。アハハ」
ダメだあああああ。
アイツの話になると何故か上手く言葉が出てこない。
昨日、あの部屋で会った時だって、アイツはその話をしなかったんだからきっと忘れてる。
ううん…………。
忘れててくれなきゃ困る。
「何を忘れてるって?」
え………?
嘘でしょ?
今、背後からあの悪魔の声がしたような………。
あたしは恐る恐る振り返った。